潜水母艦 ~今週のビックリドッキリ潜水艦~


潜水艦を産み出す、お母さん。それが、潜水母艦
ではありません。

潜水艦は、小さな船体に所狭しと、魚雷やら燃料やらエンジンやらバッテリーやらを詰め込んでます。
乗員の居住性など、余力一切を犠牲にして。
そんなデリケートな潜水艦へ補給を行い、かつ、乗員に休息を与えるのが、潜水母艦の主な役割です。

 

 

 

 

潜水艦は辛いよ

潜水艦の仕組み。割と単純です。
内部に水が入らないようにした船。重りをつけると、海の中に沈む。重りを外すと、浮き上がる。
それだけです。

潜水艦の浮沈仕組み

潜水艦の浮沈仕組み

潜水艦の船体はちょうど都合よく鉄で出来てて、水に沈みますので、これを重りにしましょう。
船体の一部に、空気を貯めこむタンクが有ります。タンクは浮力を持ちますので、浮きになります。
タンクを海水で満たすと、浮きが無くなりますので、船体は沈みます。
もういっぺん浮かび上がりたい時は、タンクの中の海水を追い出して空気で満たすことにより、船体ごと浮き上がるのです。
船体を海中の狙った深さに安定して留めておくためには、浮力と重力のバランスを絶妙に取らないといけません。難しいです。

さて、船体が海中で安定したら、プロペラを使って海中を移動しましょう。
ただし、動力源にエンジンを使ってはいけません。海の中で石油なんて燃やしたら、あっという間に船内の酸素が無くなっちゃいますからね。
バッテリーに貯めた電気を使って、モーターを回します。

海の中なので動きは遅いですし、バッテリーはさほど持ちません。
敵船の動きを未来予測して、待ちぶせした上で攻撃する必要があります。
ひたすら待つ間、限られた量しか積み込めない燃料や食料や真水はどんどん減っていきます。

乗員は、ずっと狭くて暗い艦内に引き篭もり。日光にあたれない。食べ物缶詰だらけ。男だらけ。息苦しい。蒸し暑い。ジメジメする。風呂も無い。船酔い酷い。皮膚病水虫オンパレード。しんどい。ひたすらしんどい。
ニヶ月ほどの作戦任務から戻ってきた潜水艦の乗員は、疲労困憊で倒れる者が続出しました。
心身ともに選りすぐられたエリート乗組員ばかりなのですが、それほど消耗するキツい環境なのです。

参照記事 : 潜水艦の暮らしぶり ~脱法ハウスが裸足で逃げた~

ちなみに、当時の日本海軍の大型潜水艦に積み込める食料は、およそ三ヶ月分
単独行動で送り出した潜水艦からの連絡が途絶え、やがて三ヶ月以上経った場合、その艦の乗員は「戦死」と認定されました…。

 

 

潜水母艦でリフレッシュ

というわけで。ひたすら過酷な潜水艦任務のオアシスが、潜水母艦です。
極度の疲労でぐったりした乗員はしばらく休ませないと使い物になりませんので、ニヶ月の作戦任務後に、40 日ほどの休養期間が設けられました。
日本の母港に戻れば、熱海(横須賀鎮守府)やら別府(呉鎮守府)やらの保養地で休ませられるんですけど、遠い外国の地では、なかなかそうはいきません。
そこで、泊地に潜水母艦を用意し、乗員の休息にあたらせることにしたのです。

潜水母艦「迅鯨」

小型の潜水母艦 「迅鯨(じんげい)」。 全長 125 メートル。
(ウォーターラインシリーズ / 船の科学館収蔵)

だいたい以下の様な役割を担いました。

  • 乗員の休息
  • 故郷の家族との手紙の受け渡し
  • 給料の支払い(一時上陸して遊ぶときのお小遣い)
  • 潜水艦への食料・魚雷・弾薬・機械部品・燃料の補給
  • 潜水艦の簡単な修理
  • 行動中の潜水艦への通信指示

広々とした船内。熱々の風呂。洗いたての綺麗で清潔な服。新鮮で美味しい料理。浴びるようにゴクゴク飲める真水。大の字で伸び伸び寝られるベッド。
有って当たり前のものが、ここには揃ってます。なんと素敵なことでしょう!

 

 

潜水空母は別物ですからね?

よく間違われるのが「潜水空母」。
これは文字通り、水に潜ることのできる空母、です。

代表的なのが、伊四〇〇型潜水艦
3 機の特殊攻撃機を搭載し、敵地深くでの偵察行動や、敵国の急所施設への奇襲が意図されました。
通常の空母と比べるとごく僅かな戦力ですが、こっそり単独行動して敵地深くまで忍び込めるのは大変な強みです。

伊四〇〇型潜水艦

伊四〇〇型潜水艦。 全長 122 メートル。 上部の葉巻状のところが飛行機格納庫。

 

水上フロート付き攻撃機は、折りたたんで、筒状の格納庫に入れておきます。これで水中に潜っても大丈夫。
浮上して、筒から取り出して素早く組み立て、圧縮空気式のカタパルトで飛ばします。
帰ってきた攻撃機は、のんきに回収してるヒマはありませんので、乗員だけ回収して使い捨てましょう。

晴嵐

水上攻撃機 「晴嵐(せいらん)」
計 28 機製造。

筒状格納庫。

筒状格納庫。

 

 

 

潜水母艦「大鯨(たいげい)」

1933 年(昭和 8 年)産まれです。
そのうち空母に改造することを前提として設計し、建造されました。
空母「祥鳳(しょうほう)」も同様に、潜水母艦として産まれ、空母に改造される道筋を辿ってます。

Japanese_submarine_depot_ship_Taigei_in_1935

潜水母艦 「大鯨(たいげい)」。 全長 215 メートル。 結構でかいです。

建造においては、電気溶接を用いたブロック建造法という、斬新な工法の試験台になりました。
それまでは、鉄板と鉄板とを重ね合わせて、鉄のリベットで打ち止めて船体を繋ぎ合わせる工法が一般的でした。
電気溶接工法を使うと、鉄板と鉄板を直接つなぎ合わせられるので、船体をかなり軽くすることができるのです。
また、部分部分で個別に作っておいてから最後に組み合わせるブロック工法により、建造期間をかなり短縮することができました。
ただ、初挑戦で経験不足のためか、船体が歪んでしまい、結局リベットでつなぎ合わせる羽目になったりもしています。
「とりあえず色々新技術を試してみよう」的な船でもあったようですね。

主武装は、船体前後に配備した 12.7 cm 連装高角砲 2基と、水上偵察機を 3 機。前線で戦う船じゃないので、自衛用の必要最低限です。
水上偵察機は、火薬式カタパルトで飛ばして周囲を偵察させ、フロートで水面に降りたところをクレーンで釣り上げて回収します。

1941 年(昭和 16 年)、太平洋戦争の始まりと共に、予定通り航空母艦への改装が開始されます。翌年に、航空母艦「龍鳳(りゅうほう)」へと生まれ変わりました。

 

 

 

航空母艦 「龍鳳(りゅうほう)」

航空母艦「龍鳳」

航空母艦「龍鳳(りゅうほう)」
(ウォーターラインシリーズ / 船の科学館収蔵)

空母としてのまともな活躍は、マリアナ沖海戦(日本軍側作戦名「あ号作戦」)のみです。
マリアナ諸島をめぐる闘いでした。

すでに物量でも圧倒的に劣勢だった日本海軍は、アウトレンジ戦法という作戦を目論みました。
空母艦載機の航続可能距離は、アメリカよりも日本の艦載機のほうが少し長い。
その条件をうまく活かし、アメリカ艦載機の行動範囲外から攻撃隊を飛ばし、アメリカ空母機動部隊を一方的に攻撃するというスマートな考え方です。
というか、まともにぶつかり合うと必敗必至なので、他に手のとりようがなかったとも言います。

作戦の成否を左右するのは、何も目印が無い大海原を 2 時間以上飛び続けて、敵機動部隊を見つけて攻撃、取って返して味方空母へ帰還するという至難の業を、いかに達成するか。飛行機操縦の深い知識と、熟練の技能と、長時間飛行で折れない気力体力と、多くの運が必要です。
なお、日本海軍は熟練パイロットの大半をすでに失っていました。

アメリカ空母機動部隊は、高性能のレーダーで日本攻撃隊の来襲を適確に察知し、システム化された航空管制で大量の新型護衛戦闘機を誘導して、待ちぶせしました。
大半がこの段階で撃ち落とされ、かろうじて攻撃目標に辿り着いた機も無数の対空砲の雨に晒され、為す術もなく迎え撃たれてしまいます。

一方日本側も、なんだかんだで反撃を受け、大鳳および翔鶴が米潜水艦の雷撃を受けて沈没
飛鷹が敵攻撃隊の攻撃を受けて沈没龍鳳も小破してしまいます。
日本海軍はこの闘いで 400 機近くの艦載機を失い、以後は載せる艦載機もろくに無くなってしまいました。

その後、龍鳳は輸送艦として働きます。
最後は、呉の軍港で練習用空母として使われているところを空襲を受け、5発の命中弾を受け大破。
沈没はかろうじて免れ、対空砲台となり、終戦を迎えました。

 

 

 

海自の潜水母艦(兼潜水艦救難艦)「ちよだ」

終戦後、日本海軍を引き継いだ海上自衛隊は、広い領海の防衛に潜水艦を大いに活用することにしました。

現代の潜水艦は、太平洋戦争時のものと比べると、あらゆる面で大幅に技術進化しています。
それでも、ちょっとした事故や操艦ミスで浮かんで来れなくなってしまうことには変わりがありませんでした。

自力で水中から浮き上がることができなくなった潜水艦は、救難要請用の浮き標識を真上に浮上させて、救助を待つのみです。
かつては、給油艦「佐多」に潜水艦の救難用機材を詰み、事故で沈んだ潜水艦の船体を水深約 100 メートル下から引き上げたことも有りました。
このような事故への救助に活躍するのが「ちよだ」です。

「ちよだ」 (by 海上自衛隊ホームページ)

潜水母艦 「ちよだ」
(by 海上自衛隊ホームページ

就役は、1985 年。
船体真ん中に、深海救難艇(DSRV)を搭載。全長約 12 メートル。
この小型の潜水艦を動かして、沈没した潜水艦のところまで辿り着き、潜水艦のハッチに取り付いて、乗員を救助します。

ちよだ搭載DSRV

ちよだ搭載型 DSRV。 14 人乗り。

潜水艦の沈没事故の救出作業は時間との闘いであり、事故現場に一番早く駆けつけることができる救助艇が助けにいかなくてはなりません。
そのため、世界各国で相互互助の救助協定が結ばれています。
ちよだも、2005 年にカムチャッカ半島沖で事故を起こしたロシア海軍からの救出依頼を受けて、国際救難任務に出動した事があります。
(事故海域に先に到着したイギリス救助隊が無事救助に成功したため、途中で引き返しましたが)
実にワールドワイドですね。

「ちよだ」 (by 海上自衛隊ホームページ)

「ちよだ」
(by 海上自衛隊ホームページ

 

 


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