沈まない船の作り方 ~翼をください~


紀元前から、世界中のあらゆる文明で使われてきた、船。
たくさんの船が水に浮かび、そして、沈んでいきました。

詰めるだけギリギリ大量の荷物を積む」 「荒れた海でも沈まないようにする
「両方」やらなくっちゃあならないってのが、「船」のつらいところだな。
覚悟はいいか? オレはできてる。

 

 

 

どう考えてもおかしい、鉄のカタマリが水に浮かぶなんて

鉄の玉は水に沈みますが、鉄の船は浮かびますね。
なぜなのでしょう?
それは、船が水と仲良しだからです。
船が水に対して ”ありがとう” と感謝の気持ちを伝えると、水も答えてくれる。
そういう友情パワーなのです。

船が浮かぶ仕組み

なお、空気ほどではありませんが、油も水より比重が軽いので、水に浮きます。
台所のドレッシングの瓶をご覧ください。油の層が上ですね。
燃料タンクは、浮きにもなるのです。

 

 

 

傾いた船を、元に戻す

船は、横からの波にあおられて、前後左右に傾きます。
船体は縦に細長いので、横から押されるのに特に弱いのです。
でも大丈夫。傾いた船には、自動的に復原力が働き、元の姿勢に戻りますので。

復原力

しかし、あんまり強い激しい横波に張り倒されると、姿勢を立て直すヒマもなくひっくり返ってしまいますので、ご注意を。
激しい大波が来たら、船の進路を波が来る方に向けて、真正面から立ち向かって下さい。
人生と同じです。違います。

 

 

 

たくさん積む、もっと積む、もっともっと積む

船の役割は、荷物を運んだり、人を運んだりすることです。
一回の航海で、より多くの荷物を積みたいですね。
また、軍艦の場合は、大きな砲塔を沢山乗せると強いでしょう。

そんなわけで色々欲張って載せてみると、あっという間に過積載の状態になります。

過積載状態

特に、船体の上部に重たい物を置きまくってしまった状態を「トップ・ヘビー」と呼び、船を不安定にしてしまいます。
頭の重たい起き上がりこぼしのイメージですね。
ギリギリの状態で、横波にあおられて船体のバランスを崩してしまうと、復原力が追いつかなくなり、ひっくり返ってしまいます。

転覆

なお、軍艦の場合は、敵艦隊からの砲撃をかわすために急ターンをしたり、大砲や魚雷を発射した反動などでも船体が傾きますので、復原力はより大事です。

 

 

過去の貴重な教訓 「友鶴事件」と「第四艦隊事件」

1934 年と 1935 年。
太平洋戦争の少し前の時代に、日本海軍を揺るがす大海難事故が発生しました。
演習中の艦隊が悪天候下での高波にあおられ、多数の艦が転覆や損傷してしまったのです。

当時、日本が保持できる軍艦の数は、国際的な軍縮条約により、上限が有りました。
限られた艦数で、軍事力を維持しないといけません。
どうしましょう? そうだ、一騎当千だ!
海軍は、それぞれの艦に、武装をこれでもかとてんこ盛りにしていきました。
その結果、トップ・ヘビーで不安定な軍艦ばかりになってしまったのです。

特に、転覆してしまった水雷艇「友鶴」は、たったの 40 度傾いただけで、バランスを崩して転覆してしまいました。
本来の設計上は 90 度、つまり完全に横倒しになっても元に戻るだけの復元力を見込んでいたんですが……。

軽空母「龍驤」

トップ・ヘビーの顕著な一例、軽空母「龍驤」。
軍縮条約に弄ばれ、作ってる最中の無茶な設計変更で上部構造をマシマシ。見るからに危うい姿に。

 

多大な犠牲を払ったこれらの事故の再発を防止するためには、どうすればよいか?
様々な調査と研究が行われました。
載せる装備の配置バランス、船体の溶接技術、船の構造理論、気象観測技術、荒天下での操船技法、無駄に台風に突っ込まず退く勇気とルール、などなど。

これらの教訓は、日本海軍のみならず、戦後の船舶業界にも広く反映されました。

 

 

 

船の転覆対策いろいろ

荒れた海でも、安定する船を作るにはどうすればよいでしょうか?
色々と方法が有りますので、組み合わせて賢く対処しましょう。

重心を下にする

転覆対策1

重たいものは、なるべく船底に配置しましょう。
同じ重さでも、重心が低くなる分、揺れに対して安定します。
といっても、司令塔や砲塔は高いところに配置しないと役に立たないので、必然的に上のほうに置かざるを得ませんね。
もし船底へ積むのに適当な物が無かったら、周りの海水をそのまま取り込んでもいいです。重りにはなりますので。バラスト水と申します。

なお、当然ですが船が重くなると速度が低下しますし、燃費も悪くなっちゃいます。

 

浮力を高める

転覆対策2

船底を増設して新たな空気溜まりを作っておくと、浮力自体が高まって安定します。
油とかを入れといて、燃料タンクにしておいてもいいですね。
魚雷に対する防御壁にもなります。

ただ、船の速度が遅くなってしまうのが悩みどころ。
船体は細長いほうが、水を上手くかき分けて高速が出せるのです。
この辺りは、難しい設計バランスが求められるところですね。

 

羽を付ける

転覆対策3

バランスが悪くたって、傾かなきゃいいんです。
ということで、船底に出っ張りを付けておいて、傾きそうになったら踏ん張りが効くようにしておきましょう。
ビルジキールとかフィン・スタビライザーとか呼ばれているようです。

 

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増築しまくった背の高い艦橋が見てて不安になることで有名な戦艦 「扶桑」。
全体をよく見ると、大きくて幅広の安定した船体の上に、艦橋がちょこんと乗っかってるだけなのが分かります。
まあそれでも、大量の武装やら燃料弾薬やらで、結局トップヘビーでしたが。
(By  ウィキペディア・コモンズ

 

飛ぶ

そもそも水に入らなきゃ、沈むことも無い。そうは思いませんでしょうか? ナイスアイディア。
というわけで、海面スレスレを飛ぶ、「地面効果翼機」というジャンルが有ります。
船舶の海上航行を管理する国際機関である 国際海事機関(IMO) において、一応、高速船として定義されているので、船と強弁することも可能です。

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旧ソ連製の地面効果翼機 「エクラノプラン
どう見ても飛行機です。本当にありがとうございました。
高波を被って墜落するとバラバラに壊れますので、波の穏やかな海でご利用下さい。
(by   ウィキメディア・コモンズ)

なお、この地面効果翼機。
普通の船よりも早く移動でき、飛行機よりも大量の荷物を積むことができるという、いいとこ取りの素晴らしい仕組みなのですが。
普通の船に比べると圧倒的に燃費が悪いので、ほとんど活用されてません。残念。

 

 

 

現代の海難事故への対応

海上保安庁への緊急通報電話番号が用意されてます。「118」です。
携帯に登録しておくと良いでしょう。

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海上保安庁 マリンレジャー安全推進室
http://www.kaiho.mlit.go.jp/marine/leisure.htm

 

海上における人命の安全のための国際条約SOLAS)」では、船の安全性を保つための様々な義務が課せられています。

  • 乗員・乗客数をすべて収容できる「救命胴衣(ライフジャケット)」と救命ボートの装備する
  • 救命ボートには、十分は食料・水・医療器具・信号灯・位置表示無線を搭載する
  • 船内は、可燃性材料の使用を控える
  • 人の居住部分は、エンジンなど他の部分から隔離する
  • 火災探知、警報、消火装置を備える

海難事故の際には、落ち着いた行動を心がけるようにして下さい。
実際には多分すごく難しいでしょうけど。

 

 


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