ウクライナのこれまでと、世界のこれからと


この子は我が子ですと、ウクライナの両腕を引っ張り合う、東西陣営。
冷戦は手を変え品を変え、繰り返されるのでした。
なんかやばそうですが、どうしましょうこれ?

 

 

簡単な概要

ユーラシア大陸、ヨーロッパ地方。
西ヨーロッパとロシアを繋ぐ要所に、ウクライナという国があります。
つい最近まで、ソビエト連邦の一員でしたが、ソ連崩壊後に独立しました。

黄色い所がウクライナです。 (白地図:http://www.sekaichizu.jp/)

黄色い所がウクライナです。
NATO、EU、CIS のいずれにも属していません。
東西陣営の国土に距離を開けるための、緩衝地帯となっています。
(白地図:http://www.sekaichizu.jp/) 

 

我が国は、西側の EU 陣営に属するべきか? それとも、東側のロシア陣営に属するべきか?
ウクライナに住む人達は、約 20 年に渡って揺れ続けてきました。
その天秤のバランスが、政治デモによる暴力行為によって崩れ、現状どうにもままなりません。
EU、ロシア、アメリカ、そして日本まで巻き込み。世界のパワーバランスを揺るがす大騒動になってます。

国内世論は、完全に二分割。
EU 側に付こうという人達が政権を握れば、ロシア側に付きたい人達が収まりませんし。逆もまた然りです。
双方の強硬派が、武器を手にとって建物を占拠してバリケードを張り、言葉では無く行動によって我が意を通すという状況になってしまいました。

悪いのは誰でしょう?
ロシアが悪いかと思いきや、そうとも言い切れません。
EU が悪いのかと問われれば、微妙なところです。
騒動を収める素敵な解決策を誰かが持っている? 誰も持っていません。困ったことです。

どうしてこうなった?
追っかけましょう。

ウクライナ情勢 概略解説図

 

 

ウクライナの歴史

ウクライナは、歴史上、重要な位置に有ります。
小麦がたっぷり採れる、肥沃な穀倉地帯。大陸の南北・東西を結ぶ、シルクロード交易路の中間地点。
だだっ広い平原の国は、四方八方から攻め入ることができる、守りにくい土地です。
古代より、様々な民族が入れ替わり立ち代りで侵略して国を建てて、住み着きました。

(ウクライナ南部の衛星写真。丸いのは、円形スプリンクラーを使った大規模農場。国土の7割が農地で、「欧州の穀倉」とも呼ばれています)

 

西暦 1700 年台に、ロシア帝国の侵略を受けて、領地として編入されます。
200 年後の 1917 年。ロシア革命が発生し、帝国が崩壊。独立のチャンスです!
…が、独立運動に伴う内戦でゴタゴタしてる間に、共産主義革命で生まれ変わったソビエト連邦に編入されなおされてしまいました。

1940 年台に発生した第二次世界大戦時。
ナチス・ドイツとソ連に挟まれて激しく争われ、最も悲惨な戦場の一つとなりました。
この時期に、元々住んでいた住民の強制移住と、ロシア系住民の大規模な移住が実施されます。

また、食料を外国に輸出することより外貨を稼いでいたソ連は、1930 年台に発生した不作の年においても、食料を無理矢理に強制徴発しました。
結果、ウクライナ国内では、ホロドモールと呼ばれる大飢饉が発生し、数百万人もの死者が出たと言われています。
このあたりの歴史は、ウクライナ人の心に思いっきりしこりを残しました。このうらみはらさでおくべきか。

 

 

ウクライナの仕組み

ウクライナは、多数の民族が共に暮らす多民族国家です。
主要な民族は、ウクライナ人ロシア人
といっても、外見でのパッと見では見分けがつきません。同系人種からの枝分かれですので。
当然混血も進んでおり、自分がどっちの民族なのか曖昧にしたまま過ごしてきた人も多数居ます。

住民の内、ウクライナ語を母語とする人は 70 %ロシア語が 30 %。類似の多い、兄弟言語です。
ボルシチ? コサック? そうです、ウクライナ語ですね。
ロシア語は第二公用語の位置づけで、両方話せる国民も数多く、多くの地方では両言語を併用しており、ちゃんぽんで使われることもよくあるそうです。
ロシア語しか話せないウクライナ人、なんてのもザラだそうで。

ロシア語をこよなく愛する人。ウクライナ語をこよなく愛する人。
これらの人達が、美しい国語推進運動を唱えて相手の言語の排斥運動を断続的に行い、国内に要らん火種を撒き散らしてるようです。

ウクライナの政治は、大統領制の民主主義です。
5年任期の大統領は、国民投票によって直接選ばれます。
議会は、すべて比例代表制とのこと。支持する政党の名前を書いて投票ですね。

ウクライナの経済は、残念ながらかなり弱々しい規模。
国土は日本の 1.6 倍ですが、福岡県ほどの経済規模しかありません。
一人あたりの国内総生産は、70 万円ほど(日本:350 万円ほど)。じっと手を見ると、お腹が空きます。
農業生産力に恵まれ、鉄鉱石や石炭などの天然資源も豊富で、重化学工業も発達しているわけですが、どうもうまく活かしきれていないようです。政財界の汚職体質もひどいんだとか。

国土は、27 の区画に分かれてます。
24 の州、2 つの特別市、そして、クリミア自治共和国です。
クリミアは、歴史的にロシアの領土だったのですが、ソ連時代に何故かウクライナ側に区分けされました。そういう特別な経緯があり、ウクライナの中でも特殊な半独立国扱いです。

クリミアには、セヴァストポリという軍港が有り、地中海を抑える大事な要所です。
ソ連時代から黒海艦隊という艦隊が置かれていましたが、ウクライナが独立してしまいましたので、レンタルという形でロシアが引き続き使用しています。

スラヴァ級ミサイル巡洋艦

黒海艦隊旗艦、スラヴァ級ミサイル巡洋艦「モスクワ」
船上にむき出しに搭載された大型の対艦ミサイルを、一度に8発撃つことができます。
撃ちだされたミサイル群はお互いに高度な連絡を取り合い集団行動をして、敵艦隊に一発ずつヒット! スゴイツヨイ!

 

 

ロシア・ウクライナガス紛争

天然ガス輸出国のロシア。
ウクライナ国内に引いたパイプラインを通じて、ウクライナを含めたヨーロッパ諸国に大量の天然ガスを送りまくってます。
その依存度は、北欧諸国はほぼ 100 %、ドイツも約3割ほども。
ドイツがロシアに対して強気に出ることができない、大きな枷の一つです。このエネルギーの代替手段は、あんま有りません。

ウクライナへのガス販売価格は、旧ソ連家族割引でかなり割安で提供されているんですが、貧乏国家ですので支払いが度々滞ります。
溜まったツケをいいかげん払わないとガス止めるよ? 止めるからね? というやりとりが、2005 年ぐらいから繰り返されました。
ウクライナが親 EU に偏る限り、このガス料金は値上がりしていくものと推測されます。ロシア陣営から離れていくなら、ロシア側としては割安価格で特別待遇続ける理由が有りませんから。

まあ、ロシアがパイプラインに送るガスの供給を絞ると、ウクライナではなくその先の EU 諸国が直接的な影響を受けることとなっちゃってるわけですが。

首都キエフの約 100 km 北には、チェルノブイリ原子力発電所
1986 年に歴史的な大事故が発生し、国中に大変な被害を及ぼしましたが、恐るべきことにこの発電所は、生き残った炉を動かして 2000 年まで稼働し続けていました。危険は承知の上で、でも、電力不足でのっぴきならなかったのです。
かように、エネルギー不足には常に悩まされ続けている国です。しんどいですね。

 

 

ソ連崩壊後の、ウクライナのみちのり

1991 年
ソビエト連邦崩壊に伴い、ウクライナ国として独立
独立できたのは良いものの、国の仕組みが「ソ連と一体となって運営する」ことを前提した分業体制だったため、経済の立て直しに苦労しました。
自国だけでは、経済が回りません。エネルギーは輸入の必要があるし、農産物や工業製品は輸出する必要があります。EU かロシアか、どちらかの経済圏に組み込まれる必要がありますが、どっちに付くの?で国内が揉めまくります。

2004 年
親露派(ヤヌコーヴィチ氏)と、親欧派(ユシチェンコ氏)とによる、大統領選挙が行われます。接戦でした。
欧米とロシア、それぞれの陣営からの色々な介入があったと言われています。選挙資金やら世論誘導やら。
こういう状況のお約束として、投票結果の正当性をめぐり、選挙不正が有ったとする抗議活動が多発。国が大混乱してしまいます。
オレンジ革命」と呼ばれたこの騒動の結果、親欧派のユシチェンコ大統領が就任。同時に、ユリア・ティモシェンコ首相が就任しました。
しかし、実際に政治を行ってみると、政権内部の権力抗争や、ロシアとの関係悪化に伴い、経済不安が発生。国民は、失業と貧困にあえぐこととなります。

Viktor_Yuschenko

ユシチェンコ大統領。選挙中、突然重病に掛かって肌が荒れまくり、毒を盛られたという話も出ました。
(by  ウィキメディア・コモンズ

Yulia_Tymoshenko_2014-03-06

ティモシェンコ首相。髪型が印象的な美人政治家です。きっと麻雀が得意。オレンジ革命の立役者の一人でした。後に、ユシチェンコ大統領との政治対立で、解任されてしまいます。
(by  ウィキメディア・コモンズ

 

2010 年
5年の任期満了に伴い、新しい大統領を選ぶ選挙が実施されました。今度は、親ロ派が巻き返しに成功ヤヌコーヴィチ大統領が就任しました。
前政権を担ったティモシェンコ元首相は、逮捕されてしまいます。首相としての権力を、乱用した容疑でした。欧米諸国からは、政敵を追い落とすための不当な国策逮捕だと、批判が巻き起こりましたが、実際のところは不明です。

Agência_Brasil_2011_Viktor_Yanukovich

ヤヌコーヴィチ大統領。親露政策をとったため、2014 年の首都デモで追い出されてしまいました。
(by  ウィキメディア・コモンズ

2013 年11 月
世界的な不況の影響も有り、苦しいままの経済危機に四苦八苦するウクライナは、EU との経済的な関係性を強める政治・貿易協定を、以前から進めていました。
が、ヤヌコーヴィチ大統領、これを途中破棄し、ロシア側との緊密化を進めてしまいます。EU 入りを目指すには緊縮財政が必要であるため、国民に痛みを強いる政策を実施して不興を買い、前政権と同じ轍を踏むのを恐れたためとも言われてますが。
これに、親欧派の国民が怒り、首都キエフに集まって抗議のデモ活動を行うようになりました。
12 月には、怒れるデモ隊が、市役所を占拠。その後もデモは膨らみ続け、80 万人級のデモに発展してしまいました。

2014 年
年が明けて、デモが過激化。盾と鎧で武装し、銃・火炎瓶・ハンマー。なにこの世紀末、と世界中から突っ込まれる有り様になってしまいました。

市街地に築いたバリケード越しの銃撃戦に発展。多数の死者がでる事態になってしまいます。

05 月に大統領選挙を行うことを大統領側が提案し、野党は受け入れて、騒動の収束が期待されました。
しかし、議会の外に居るデモ隊が、言うこと聞きゃしません。過激化が止まらず、暴力活動は激しさを増す一方。
とうとうヤヌコーヴィチ大統領は、首都を脱出しロシアに亡命。残った野党陣営が中心となり、暫定政府が樹立されました。前政権の与党は、これは不法なクーデターであると反発して不参加です。

 

 

ウクライナの現状おさらい

ウクライナ情勢 概略解説図

  • EU とロシアに左右から挟まれ、地政学的に不安定。
  • 西部はウクライナ人が多く親 EC、東部はロシア系住民が多く親ロシアの傾向。
  • ウクライナ語とロシア語が、主要な共通言語。
  • 経済的に脆弱で、近年はロシアの支援頼みだった。
  • 親ファシズム・反ユダヤ主義を唱える極右政党が、議会の第三極を占めてる。
  • 親露派政権は、過激なデモによって倒された。
  • 親 EU 派が、暫定政府を立ち上げた。選挙の洗礼は受けておらず、これを根拠にロシアは正当性を認めていない。
  • ロシア語をウクライナ公用語から除く決議を行うなど、急速な反ロシア姿勢を見せている。(暫定大統領が実行拒否の模様)
  • プーチン大統領は、ウクライナへの軍事介入をロシア議会に提起。ロシアの議会は、これを承認。ロシア系住民の保護、およびクリミア国内のロシア権益を守るという名目。

 

 

クリミア自治共和国の独立

クリミア自治共和国は、ウクライナの国内で最も親露傾向が強い地域です。
住人構成は、ロシア人 58 %、ウクライナ人 24 %、タタール人 12 %、他。
親露派のヤヌコーヴィチ政権が、親 EU 派の暴力によるクーデターによって排除されたことに、強い反発が発生しました。

ウクライナに留まり続けるべきか? 独立してロシアへ帰属すべきか?
親露派が多数を占めるクリミア議会により、かなり性急な住民投票が行われました。
決議してから 2 週間足らずで投票して決めろって言われましても、どうでしょう?

ロシア系住民が 6 割な時点でまあ過半数は見えてるわけですが、ロシア軍っぽいコスプレをした人達が市内の主要施設を軍事占拠したり、ウクライナのテレビを遮断してロシア寄りのテレビ放送のみを流し続けたり、ウクライナ・タタール系の住民が投票をボイコットしたりした結果、9 割以上の賛成票を得て、ロシア編入が決定されました。実に民主的です。

国際社会は、西側諸国を中心に、ちょっと認められないという意見が強く。国連総会では、クリミアのロシアへの編入を認めないとする決議案の採決が行われました。
賛成 100 ヶ国、反対 11 ヶ国、棄権 58 ヶ国。
意外に棄権が多いです。騒動に巻き込まれたくないと思った国が多かったのかもしれませんね。

アメリカや EU 諸国は、ロシアが裏側で手を引いていると断定し、激しく非難。
ロシアに対して経済制裁措置を決定しましたが、いまのところは、ごく限られた範囲のみです。
牽制的な意味合いが強いのでしょう。

独立運動の動きは、ウクライナ南部のロシア系住民が多いところにも、飛び火しまくってるようです。
独立支持派が地方議会を占拠して、独立の是非を問う住民投票の実現を求めたりなど。
ただ、クリミアと違って歴史的な特殊性は無いし、ロシア系住民の比率も過半数を割ってるので、微妙なところなのでしょう。
ロシアも今のところ、独立派の軍事支援要請には呼応せずに、様子見モードのようです。

 

 

ウクライナの今後

親 EU 派と親露派の内乱は、落着点が全く見えない状況です。
選挙で負けたとしても、国内の主要施設を武力デモで占拠し続ければ政府を打ち倒せることを、両派とも学んでしまいました。
口ではなく、体を動かして、我が意を強引に通す。大変よろしくない状態です。
いままでは、かろうじて話し合いによる協議と妥協ができていたんですが…。

不幸中の幸いなことに、現在のところ各地の武装占拠は組織的に秩序だって比較的平穏に行われており、強盗略奪の多発など致命的な治安悪化状況では無いようですが、過激派同士の小競り合いで死傷者は出続けています。
なにかのスイッチが入らないことを祈るばかりです。

現行の暫定政権は、国内東部で武装占拠を行っている親露派をテロリストと呼び、強制排除も辞さないと強気の姿勢です。
武力衝突が続いて死傷者が出れば、ロシアの軍事介入も招きかねません。
なお、ウクライナ軍とロシア軍がガチンコしたら、まったく勝負にならないレベルです。

国の財政危機は、待ったなしです。
内乱の結果国が貧しくなったわけではなく、国が貧しいから内乱が起きているのです。
対外債務はパンパンに膨らんでいて、お金を稼げる有望な産業は無いし、官民は東西綱引きで汚職まみれ。
このままですと、国の財政はジリ貧一方で、遠からず破産に追い立てられる状況です。

どっか助けてくれる国は無いでしょうか?
露骨な親 EU 寄りの現体制のままだと、ロシアからの経済支援の望みは途絶えています。
EU も、お金の面では頼りになりません。そもそも EU はユーロ危機によって絶賛財政危機中で、立て直しつつはあるものの、EU 圏内のギリシャやイタリアが崩壊しないように支援するのでいっぱいいっぱいです。EU に所属していないウクライナに多額の援助を行うのは、高額の税金負担や不十分な行政サービスにあえぐ各国の国民から納得が得られづらいでしょう。
アメリカ、日本が表明している支援もごくわずか。

IMF (国際通貨基金)による支援も検討されてますが、導入には相当な傷みが伴います。
電気やガス公共料金の大幅値上げ、年金削減、公務員給与削減など。
ロシアからのガス輸入は代替できる方策が無く、今後も大きく依存せざるを得ない状況です。

大統領選挙は、2014/05/25 に予定されています。
ただし、東部の混乱が続けばまともな選挙活動と投票ができなくて、ロシアが正当性に疑義を申し立てて来ることでしょう。
また、どっちの陣営が勝っても、反体制派による各地方での武装占拠が続くことは目に見えてます。
政治的な安定をウクライナが得るまでには、高いハードルが有ります。

 

 

各国の立場

黄色い所がウクライナです。 (白地図:http://www.sekaichizu.jp/)

EU はウクライナをどこまで本気で守ってくれる?

北大西洋条約機構(NATO)は、アメリカとヨーロッパ西側諸国との安全保障連盟で、ソ連の脅威への対抗がメインです。
加盟している国がソ連からの攻撃を受けたら、全員で反撃する。そういう仕組です。
しかし、ウクライナは、北大西洋条約機構(NATO)に所属していません。

ウクライナが完全にロシア陣営に組み込まれてしまうと、ロシアと NATO 加盟諸国との緩衝地帯が無くなってしまうので、避けたいところ。
でも、直接 NATO 軍を動かして守るための根拠が薄いのです。軍事行動を起こすということは、自国民の血を流すってことですからね。ロシア軍によるウクライナ人の大量虐殺が発生すれば話は別でしょうが、まあそれはほぼ有り得ないかと。

 

ロシアはどこまで本気で守ってくれる?

ウクライナという国を一番大切に思ってる国はどこか?
間違いなく、ロシアです。
天然ガスも凄い割安価格で販売してました。一兆円以上という巨額の経済支援も準備していました。

国内には、ロシア語を話すロシア系住民が多数住んでいます。
同胞を見捨てるようなことは、ロシアの有権者達は許さないでしょう。
実際、プーチン大統領は、長期政権で支持率が右肩下がりになってましたが、ウクライナ問題への対応が好評価され、ロシア国内の支持率がなんと 80% にまで跳ね上がりました。安易な妥協はしづらいところです。

ロシア政府は、ロシア系住民が危害を加えられるようなことがあれば軍事介入も辞さないと明言し、実際にロシアとウクライナの国境に軍隊を集めてプレッシャーをかけ続けています。

一方、西側諸国との対立構造が明らかになったことで、ロシアの経済は大きなダメージを被ってます。
格付け機関による国の格付けが下がり、通貨が弱くなり、西側諸国の民間企業からの経済投資も中断が多発しています。
ロシア国民の暮らしも、今より厳しくなっていくことでしょう。
EU の代わりに、中国との経済連携を強化していく動きもあるようですが、どこまで成功するかは全くの未知数です。

なお、ロシアの思惑をどう評価するかは、世界のマスメディアの論調は様々に割れてるようです。
ロシア帝国覇権主義の復活を目論んで、周到な準備の上に強い覚悟で挑んでいる説。
想定外のウクライナ騒乱に巻き込まれて、でも国民からの支持率を低下させないためにしぶしぶクリミアを編入する道を選んだ説。
どっちが正解なんでしょうね? あるいは両方でしょうか?

 

 

ウクライナ問題に絡んだ世界の今後

ロシアは、親 EU 派と親露派それぞれの管轄地域を分ける連邦国家制度への移行を提案しており、これがひとつの落とし所になるのでしょう。
ただ、両派の居住地域はそんなに綺麗に分かれているわけではなく、住民の感情対立の収め方はかなり難しいところです。いままで平穏に暮らしてきた地域や家族が、あちこちで引き裂かれるわけですからね。

西側諸国とロシアの関係性はかなり悪くなり、ロシアは G8 主要国首脳会議から追い出されてしまいました。
東西冷戦構造が再燃するのは、ぜひ勘弁頂きたいところです。
西側諸国とロシアの経済的な繋がりは、いまやかつての冷戦期とは比べ物にならないほど深いので、共倒れにしかなりません。
天然ガス一つをとっても、ロシアからのガスが止まると寒冷気候のヨーロッパ諸国は冬の暖房が無くなって凍えますし、ガスの販売代金が入らないロシアにとっても経済危機を招く恐れがあります。

世界には不安定な地域があちこちに有り、例えばシリアで発生した政府軍と反体制派との武力衝突は、欧米諸国とロシアが協調して働きかけて問題解決に取り組むことにより、破滅的な混乱に陥ることをなんとか水際で防いでる状態です。
こういった東西先進諸国による協調介入の体制が無くなると、第三国で発生した小さな騒動が小さい内に収められず、延々と膨らみ続けて危険が危ないでしょう。

ウクライナは、農業輸出大国でもあります。
もし騒乱が続いて食料生産能力が落ちると、国際的な小麦価格が高騰するかもしれません。
かつて、パンの値上がりをひとつのきっかけとして、クーデターが発生した国がありました。エジプトの、アラブの春ですね。
ほとんど全ての国は、国民が飢えると不安定になり、困った状況に陥ります。

歴史を後から振り返ってみたら、これが第三次世界大戦の端緒だった。
最悪、後世からそのように語られるかもしれません。
各国政府の冷静な対応、各報道機関の冷静な報道、各市民の冷静な行動が、必要であろうと思います。

 

 

日本の立場

アメリカとロシアとの間で板挟みになり困った、という感じかと思われます。
ロシアと日本の間には、北方領土問題
返還交渉を進展させたくて、安倍首相はプーチン大統領と密接に会談を繰り返していました。
しかし、アメリカ様に忠実な西側諸国の一員である立場上、ロシアに対して強い姿勢を示さないといけないですよね。困ったものです。

なお、日本で使用している天然ガスと原油のおよそ1割は、ロシアからの輸入。
原子力発電所全停止中の日本にとっては、必要不可欠です。

 

 

コソボ独立紛争 ~ウクライナと類似の事例~

ウクライナ問題と色んな意味で比較され、取り上げられるのが、コソボ独立問題です。

ウクライナのちょっと下にある、セルビアという国。
国内に、コソボ自治州という地域が有り、アルバニア人が主に住んでいますが、民族分離独立運動を行い、セルビア人政府との間で内戦が発生しました。

ユーゴスラビア

緑色が、旧ユーゴスラビア地域。(白地図 : http://www.sekaichizu.jp/) 

さかのぼること、第二次世界大戦終結後。
ユーゴスラビアという、多民族寄せ集めの連合国家が有りました。
ちょっと目を離すとすぐバラバラに独立したがる各民族を、チトー大統領というカリスマ政治家が、豪腕と強権をもってして統治していたのです。

チトーの政治手法は、平等主義と民族融和を徹底的にうたい、民族独立主義者を徹底的かつ強引に押さえつけること。きかん坊の民族主義者は、片っ端から秘密警察にめっされました。
チトー死亡後、力のタガが外れた各民族の独立主義派が制御効かなくなり、ユーゴスラビア連邦国家はバラバラに。
いっぱいに分かれます。セルビア/ボスニア・ヘルツェゴビナ/スロベニア/クロアチア/モンテネグロ/マケドニア。

セルビアには、セルビア人アルバニア人が一緒に住んでいました。
しかし、非主流派のアルバニア人が独立したがって、関係性が悪化していきます。
経済的な貧困や、双方の非難合戦による人種差別意識の拡大や、住民の不安を煽る噂などにより、状況はどんどん緊迫化。

罵り合いが小競り合いになり、小競り合いが暴力に発展。
アルバニア過激派が、セルビア人に対する暴力テロ活動を実施。セルビア人も報復行為を繰り返し、収拾が付かなくなります。
故郷を追われ、身一つで命からがら国外に逃げて難民となった住人も、多数出ました。

お互いに暴力の連鎖ですので、どちらかが悪いと一方的に断ずることはできないんですが、色々と理由が有って欧米はアルバニア人側に肩入れします。
平和維持活動の一環として、NATO によるセルビア空爆が実施されました。飛行機から爆弾を落とす、人道的な平和維持活動です。
本来、国連安全保障理事会で決議して国連軍として行うべき行為なんですが、拒否権を持つロシアと中国が独立国家への軍事介入に強硬に反対したため、欧米だけで独断でやっちゃった感じでした。必要に迫られての苦渋の決断ではあったものの、当然、国際的な批判もたっぷり喰らってます。
このコソボ紛争では、双方に数千人の死者が発生。故郷を追われた難民は、数十万人にのぼります。

コソボ自治州は、アメリカ・イギリス・ドイツなどの支持を得て独立を宣言
住民投票にて、コソボ住民の過半数が独立を選択したんです。でも、セルビア政府は認めませんし、紛争当事者の一方であるセルビアが受け入れない解決策には、ロシアや中国も認めないのです。
なお、西側諸国も一枚岩ではなく、同様に国内で分離独立運動を行う地域を抱えるスペインなどは、コソボ独立を非承認の姿勢です

「クリミア自治共和国のロシア編入を非難する欧米諸国は、コソボで自分たちが何したか忘れたのか?」と言う批判は、こういう経緯に基づきます。
もちろん、そっくりそのままロシアにも返って来ますが。

なお、同様の火種は、世界のあちらこちらに散らばっているようです。

  • スペイン/バスク地方
  • スペイン/カタルーニャ州
  • ロシア/チェチェン共和国
  • ロシア/サハ共和国
  • モルドバ/沿ドニエストル共和国
  • 中国/チベット地方
  • インド/カシミール地方
  • イギリス/北アイルランド
  • カナダ/ケベック州

怖いですね。
平和が一番です。ぼくらは未来の地球っ子。みんなで輪になって仲良くしましょう。

 

 

 


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